カメラもバスケもまったくの初心者だった私ですが、今ではご依頼をいただいて撮影する機会もあるほどに成長しました。
最初は、ピントが合わない、ブレる、暗い。うまく撮れたと思っても、似たような写真ばかり。何度も失敗を繰り返しながら、少しずつ自分が納得できる写真を撮れるようになってきました。
最近では、友人から「どうやって撮ってるの?」と聞かれることが増えたので、私が実際に意識して取り組んできたことを、3ステップで整理してまとめてみようと思います。
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Step1:オートフォーカスの練習
まずはピントを安定して合わせられるようになること。
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Step2:シーンを意識する
「どんな瞬間を残したいか?」を考えながら撮影すること。
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Step3:構図を意識する(ズームとフォーカスポイントの調整)
写真の完成度を高めるための工夫をしていくこと。
きっと、再現性の高い内容になっているはずです。「バスケ撮影、なかなかうまくいかないな…」と感じている方がいれば、ぜひ試してみてください!
はじめに
友人に「どうやってバスケを撮ってるの?」と聞かれると、つい
「機材の力だよ!」
と答えてしまうことが多いです。確かに、機材の性能は大事です(機材紹介はこちら)。でも、よくよく考えてみると、機材以外にも工夫しながら上達してきたポイントがたくさんあることに気づきました。
ざっと分解してみると、意識しているポイントはこんな感じです
- オートフォーカスの合わせ方
- 画角の調整
- 撮影シーン
- 撮影後の編集(これは必須ではないですが)
こうして見ると、結構たくさんのことを考えて撮っているんだなと改めて実感します。
私が上達できたのは、こうした要素をひとつひとつ段階を踏んで身につけていったからだと思っています。そしてもう一つは、撮影機会に恵まれたこと。息子が5年生だった一年間で80試合くらい撮ったと思います(笑)この一年でかなり上達したと思います。量をこなすことも大事なので是非みなさんもたくさん撮影してくださいね。
それではここから、私が実際にやってきた上達のステップをご紹介していきます!
準備:撮影モード
撮影モードはシャッタースピード優先かマニュアルがおすすめです。よくわからない場合は下記の設定を参考にしてください。(モードダイヤルをSに合わせて、どこかのダイヤルを回すとシャッタースピードが調整できるはずです)
- ダブルズームキットなどの一般的なズームレンズの場合
- シャッタースピード優先
- シャッタースピード1/320
- ISOオート
- F2.8などの明るいレンズの場合
- シャッタスピード優先
- シャッタースピード1/800〜1/1000
- ISOオート
撮影モードの設定方法がわからない場合は以下の記事を読んでみてください↓
enjoymbphotos.hatenablog.com
Step1:オートフォーカスの練習
まずは、とにもかくにもオートフォーカス(AF)の練習です。被写体にピントが合わないことにはお話が始まりません。ですが、ここがバスケ撮影の一番難しいところでもあり、これさえできるようになれば、「バスケ撮影楽しい!」と思えるようになると思いますので、ぜひ頑張ってみてください!
今でも、今のシーン撮りたかったのにピントが(涙涙涙)ということがよく起こります。まだまだ修行が必要です。。
Step1のゴールは?
このステップのゴールは、コートエンドから、以下のシーンで被写体をフォーカスエリア内に収められるようになることです。
実際にピントが合うかどうかはカメラやレンズの性能にも左右されるため、まずは「フォーカスエリアに被写体を捉え、AFボタンを押し続けられること」を目指しましょう。
- 速攻で走り込んできた選手のレイアップ
- ガードの選手がディフェンスをかわしながらボールを運ぶ
- ゴール下の攻防からのシュート
- パスを受けた選手にパッとフォーカスを合わせられる
AFの設定について
AFエリアモードとAFモード
AFの設定にはAFエリアモードとAFモードという2つの設定があります。めっちゃわかりにくいですよね。私も理解するまで半年くらいかかりました(笑)
- AFエリアモード:画角内から被写体を探す方法
- AFモード:見つけた被写体へのピントの合わせ方
と捉えると、少しイメージしやすくなるかもしれません。なお、メーカーによって名称が違いますが、基本的な考え方は同じです。
AFエリアモード(フォーカスエリアモード)
エリアモードはカメラによってかなり種類があります。例えば、
- 画面全体から人間や動物を識別して自動で被写体を特定する
- 指定した被写体を追いかけてくれる
- 画面中で指定したピンポイントの箇所にあるものを被写体とする
- etc...
私がバスケ撮影で一番使いやすいと感じているのは、ニコンで「ダイナミックAF」と呼ばれているモードです。ソニーだと「拡張フレキシブルスポット」が同じ機能にあたりそうです。
ダイナミックAFはピントを合わせたい位置をピンポイントで指定しつつ、少し被写体がズレてもある程度追従してくれる、動体撮影向きのモードです。
他のモードも色々試しましたが、
- 人物認識:撮りたい選手以外にピントが合ってしまう
- 3Dトラッキング:選手が入り乱れるシーンでは追従できない
という問題があり、一番安定して撮影ができるダイナミックAFを使っています。
AFモード(フォーカスモード)
AFモードはAF-C一択です。
AF-C。
大事なことなので2回書きました(笑)
AF-Sはシャッターボタンを半押ししたタイミングで被写体にピントを合わせるので、被写体が動いてしまうと、元の位置にピントが置き去りになります。
一方、AF-Cは半押ししている間ずっとピントを合わせ続けてくれるため、被写体が動き続けている場合にはこちらに設定する必要があります。
Tips:親指AF
初期設定では、シャッターボタンの半押しでAFが起動しますが、AF操作をカスタムボタンに割り当てて親指で操作する方法があります。これを「親指AF」と呼ぶようです。AF-Cと組み合わせて使うことで、
と、操作を分けることができ、快適に撮影できます。気になる方は是非設定してみてください。

練習のポイント
どこから撮る?
撮影位置のおすすめはコートサイドのエンドラインよりです。
ここからの撮影が一番フォーカスを合わせるのが難しく、練習にはもってこいだからです。また、シュートシーンが一番かっこよく移せる位置でもあります。

※図内に記載している焦点距離は、私が70-200mmのレンズをAPS-C機で使う場合によく使う焦点距離です
ズームは使わない
焦点距離は固定します。目安としては、ゴール下のシュートがちょうど収まる画角(50〜70mmくらい)です。ズームは使わず、AFに集中します。
フォーカスポイントは中央から動かさない
フォーカスポイントは中央に設定します。理想を言えば、構図を意識して位置を変えたいところなのですが、AFの練習に集中するために中央に固定します。顔ではなく胸あたりを狙うと撮影しやすいです。

とにかくたくさん撮る!
設定が整ったら、あとは実践あるのみです!
練習する際のポイントは下記の通りです。
- シャッターは連写モード
- ファインダーを使う
- フォーカスポイントで被写体を追いかけながらAFボタンを押し続ける
- 撮りたいタイミングでシャッターを押す
連写すると選別作業が大変になりますが、どの程度ピントが合うか確認する意味でも、連写モードでたくさん撮るのがおすすめです。
上に挙げたシーンを撮れるようになるまで、根気強く練習してみてください!
【補足】気に入った写真は編集するのがオススメ
Step1では、ズームとフォーカスポイントを固定しているため、構図がイマイチになりがちです(被写体は常に中央だし、被写体が遠くて少し小さい場合も)。気に入った写真が撮れたら、トリミングして構図を整えるのがおすすめです。
簡単な構図の整え方としては、
このようにちょっとした工夫で、写真の印象がぐっと良くなります!
←befor/after→

Step2:シーンを意識する
Step1でピントを合わせられるようになったら、次は撮りたい「シーン」を意識して撮影していきます。
私はバスケの知識がまったくない状態で撮影を始めたので、最初は「写真映えするカッコいいシーン」ばかりを追いかけていました。でも、バスケのことを知れば知るほど、かっこよさ以外にも残したいシーンがたくさんあることに気づきました。
Step2のゴールは?
「今日はどんなシーンを撮りたいか?」を撮影前にイメージできるようになることが、このステップのゴールです。
撮影の引き出しが増えてくると、
など、その日の試合に合わせたテーマが自然と浮かぶようになります。
バスケのプレイシーン
バスケの写真と言ったらこれですよね。おそらく皆さんが一番はじめにイメージする、映える写真が撮れます!
- ティップオフ
- ドリブル
- シュート
- パス
- フリースロー
- リバウンド
- ブロック
- etc...
同じチームを何度も撮影していると、「この選手はリバウンドが強い」「この子はドリブルで切り込むのがうまい」など、選手の特徴が見えてきてシャッタータイミングもつかみやすくなります。
この中で、私が一番テンションが上がるのはブロックのシーンですね。そんなに頻繁に綺麗にブロックできるシーンに出会えないのと、撮影するのも難しい(と私は思っている)ので、完璧に撮れたときの感動はひとしおです。
表情にフォーカス
意外と見落とされがちですが、特に小学生は表情がとても豊かなので、ぜひ注目してみてください。
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シュートを決めたあとの笑顔
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ディフェンスの真剣な顔
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試合終了後のうれしい/くやしい表情
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5ファウルでベンチに下がる瞬間
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選手同士が声をかけあっている場面
こうした「気持ち」が前面に出た写真もたくさん残しておきたいです。後から見返したとき、むしろプレイの写真よりもそのときの感動や感情が蘇る写真になります。
これまで撮った写真の中でも思い出に残っている写真は表情の写真が多いです。ぱっと思い出せる写真が何枚もあります。
ただ、難しいのはこういうタイミングは自分も見入ってしまってることが多いんですよね。かなり意識しないと撮れないです。
選手を支える周囲の様子
選手以外の周囲の様子も是非残したいです。
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指示を送るコーチ
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ベンチで応援する選手たち
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一生懸命声援を送る保護者の姿
他のスポーツもそうだと思いますが、コート内でプレイしている選手だけでなく、たくさんの人の支えがあってチームは成り立っています。そういうことが伝わる写真も私は大好きです。
番外編:試合以外で残したいもの
写真といえば試合やイベントばかりになってしまいがちですが、練習風景や体育館の様子もぜひ残してみてください。
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練習中の様子
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体育館の外観・内観
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ボールカゴやゴール
こんなところで過ごしていたなという普段の情景を写真に残しておくと、後から見返したときになんだかグッとくる写真になると思います。(卒業ムービーなどにも使い易いです)
Step3:構図を意識する(ズームとフォーカスポイントの調整)
いよいよ最後のステップです!
このステップでは、ズームやフォーカスポイントの調整を通して、より良い構図で撮影できるようになることを目指します。ここまでで基本的な撮影はできるようになっているので、あとはどこまで精度を高めていくか、という段階です。
私もまだまだ道半ばですが、一緒に頑張りましょう!
Step3のゴールは?
ズバリ、撮影後の編集がほとんど必要ないレベルの写真を撮れるようになること!
私自身もこの状態を目指していますが、まだまだゴールは遠いと感じています。
ズームの調整
被写体を追いながら、撮りたいシーンを意識して、さらにズームまでコントロールするのはかなり難しいです。
私は、おおよそ3段階くらいで焦点距離を調整するようにしています。たとえば以下のようなイメージです(焦点距離はAPS-C機の場合、()内が35mm換算です)

反対サイドから手前に向かって選手が動いてくるときは、まずは135mmで撮り始め、中央に来たら100mm、手前まで来たら70mmに、といった具合に段階的に調整しています。もっとフレキシブルにズームできると良いのかもしれませんが、ズームを動かしているときはAFが合わないので、ズームを動かす回数がなるべく少なくて済むように工夫しています。
フォーカスポイントの調整
Step1ではフォーカスポイントを中央に固定していましたが、構図を意識できるようになったら、被写体を三分割構図の交点に置くようにして、フォーカスポイントも動かしてみるとよいです。(もちろん中央に置いた方が良いケースもあります)
例えば、
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選手の目線の先に空間(余白)を作る
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ドリブルや走っている方向に余白を持たせる
- 横構図では床の余白を減らすためにフォーカスポイントを下寄りに置く
こういった工夫をすることで、より臨場感やストーリー性のある写真になります。
もちろん、動きが早いシーンでは無理せず中央で撮って、あとでトリミングするのもアリです。
まとめ
バスケ撮影の上達方法として、今回は以下の3つのステップをご紹介しました。
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Step1:オートフォーカスの練習
まずはピントを安定して合わせられるようになること。
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Step2:シーンを意識する
「どんな瞬間を残したいか?」を考えながら撮影すること。
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Step3:構図を意識する(ズームとフォーカスポイントの調整)
写真の完成度を高めるために適宜フォーカス位置を移動する
私自身、この順番で練習してきて、撮れる写真の幅が少しずつ広がってきました。
もちろん今でも失敗はあるし、思うように撮れない日もあります。特にしばらく間があくと感覚が戻るまで少し時間がかかります(汗)
でも、スポーツと同じで練習すれば上手くなるので、「撮れた!」という瞬間が増えていくと本当に楽しいです^^
バスケの写真は、迫力あるプレイだけでなく、選手たちや周りで選手を支える方々の感情や表情を切り取れるのが魅力だと思っています。
はじめは上手く撮れなくて当たり前だと思いますので、自分なりの「残したい瞬間」を探しながら、撮影を楽しんでみてほしいです!
この記事ではカメラ設定(ハード面)というよりは、撮影方法(ソフト面)について書いてきました。
使っている機材やカメラの設定については別の記事で紹介していますので、興味がある方は参考にしてみてください。
enjoymbphotos.hatenablog.com
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